リビアヤマネコ図鑑|イエネコ祖先の砂漠暮らし

出典:Wikimedia Commons(Tony Rebelo)CC BY-SA 4.0
  • 学名: Felis lybica(フェリス・リビカ)
  • 英名: African wildcat/Libyan wildcat
  • 分類: ネコ科ネコ属(Felis属)
  • 体長: 約50〜80cm(頭胴長の目安)
  • 尾長: 約25〜35cm(目安)
  • 体重: 約3〜10kg(目安)
  • 寿命: 野生で〜10年前後、飼育下で〜15年前後とされることが多い
出典:Wikimedia Commons(Tony Rebelo)CC BY-SA 4.0
  • 学名: Felis lybica(フェリス・リビカ)
  • 英名: African wildcat/Libyan wildcat
  • 分類: ネコ科ネコ属(Felis属)
  • 体長: 約50〜80cm(頭胴長の目安)
  • 尾長: 約25〜35cm(目安)
  • 体重: 約3〜10kg(目安)
  • 寿命: 野生で〜10年前後、飼育下で〜15年前後とされることが多い

※文献によっては Felis silvestris lybica(ヨーロッパヤマネコの亜種)として扱われます

リビアヤマネコってどんな動物?
  • イエネコの祖先と言われる
  • 乾燥地や草原に適応した、細身の野生ネコ
  • 人の暮らしの近くにも現れることがある
目次

リビアヤマネコの名前と分類

出典:Wikimedia Commons(Justin Ponder)CC BY 4.0

リビアヤマネコは、アフリカから西アジアにかけて広く分布する「ヤマネコ類」の一種です。

一般にはFelis lybica(フェリス・リビカ)として知られます。

外見はイエネコにとてもよく似ていますが、分類上はイエネコと近縁で、野生環境に適応した「原型に近いネコ」として位置づけられます。

リビアヤマネコの名前の由来

「リビアヤマネコ」という和名は、学名のlybicaに由来します。

アフリカヤマネコと呼ばれることもあります。

実際の分布はリビア(広義の北アフリカ)だけに限らず、北アフリカ全域〜東アフリカの一部、さらに中東方面へも広がります。

Felis属での立ち位置

リビアヤマネコ(アフリカヤマネコ)はFelis属に分類されます。

Felis属は、ネコ科の中でも比較的小型〜中型のネコたちがまとまるグループです。

リビアヤマネコはその中でも、イエネコと最も近く野生・半野生・家畜化の境界を考えるうえで重要な存在です。

実際の現場では、見た目だけで「野生のリビアヤマネコ」か「野良化したイエネコ」かを判別しにくいことがあるほどです。

リビアヤマネコの亜種

リビアヤマネコは分布が非常に広く、地域によって毛色や模様に差が出ます。

そのため、研究や分類体系によって「どこまでを同じ亜種として扱うか」は揺れることがあります。

代表的な整理例として、ネコ科の分類見直し(Cat News Special Issue 11)では、リビアヤマネコ Felis lybica の亜種を大きく次の3つに分類しています。

  • Felis lybica lybica:北・東・西アフリカ〜アラビア半島〜中東など(広域)
  • Felis lybica cafra(南アフリカヤマネコ):南部アフリカ(境界は地域で曖昧になり得る)
  • Felis lybica ornata:南西〜中央アジア、インド、モンゴル、中国など

リビアヤマネコはイエネコの祖先って本当?

概ね「本当」と考えてよいでしょう。

現在のイエネコは、複数の地域のネコが混ざり合って成立したという見方はありつつも、家畜化の主要な起点としては、リビアヤマネコ系統(近縁なヤマネコ類)から人の暮らしに近づいた個体群が大きく関わったとされます。

ポイントは「人が飼いならしたというより、穀物倉庫に集まるネズミを追ってネコが集落へ近づき、共存関係が強まった」という流れです。

これにより、リビアヤマネコは“野生のネコ”でありながら、人類史(農耕・定住)とセットで語られる珍しい野生動物になっています。

リビアヤマネコはどこにいる?

出典:Wikimedia Commons(Bernard DUPONT)CC BY-SA 2.0

リビアヤマネコの分布

リビアヤマネコは、北アフリカを中心に、環境がつながる地域へ広く分布する野生ネコです。

国名で覚えるよりも、「乾いた土地から半乾燥地帯にかけての広い帯」にいる、と捉えるとイメージしやすいでしょう。

また、同じリビアヤマネコ系統でも地域差があり、場所によっては家畜の多い土地や人の生活圏の周辺で記録されることもあります。

リビアヤマネコが好む環境

リビアヤマネコが得意なのは、ジャングルのような濃い森ではなく、見通しがききつつ、身を隠せる場所が点在する環境です。

例えば以下のような場所が典型です。

  • サバンナや半乾燥地
    草や低木があり、獲物が見つけやすい
  • 低木林・岩場・ワジ(涸れ川)周辺
    日中に隠れやすい
  • 農地の周縁・放牧地の近く
    小動物が集まりやすく、狩り場になりやすい(ただし人との距離が近い分リスクも増える)

ポイントは「乾いている」だけでなく、隠れ場所(茂み・岩陰・土手など)と獲物がそろうことです。

リビアヤマネコの見た目

出典:Wikimedia Commons(flowcomm)CC BY 2.0

リビアヤマネコの体の特徴

リビアヤマネコは、イエネコに近い体格に見えますが、全体の印象はより“野生仕様”です。

  • 脚がやや長めで、地面を素早く移動できる体つき
  • 体はしなやかで引き締まった印象になりやすい
  • 耳は三角形で立ち気味(先端の毛は長くないことが多い)
  • 表情は落ち着いた雰囲気で、目つきがきりっと見える個体もいます

リビアヤマネコの柄

毛色は、環境に溶け込む砂色〜灰褐色が基本です。

模様は派手ではなく、次のような控えめな野生感として出ます。

  • 体の斑や縞は薄く、個体差が大きい
  • 足にうっすら縞が出ることがある
  • 顔には目の周りや頬のラインが見えることがある
  • 背中にやや濃い筋が出る場合もある

写真だと「普通の猫っぽい」のに、よく見ると自然色で迷彩しているのがリビアヤマネコらしさです。

リビアヤマネコの大きさ

大きさはイエネコと同程度か、やや大きく見えることもあります。

体重・体長には個体差があり、性別や地域、獲物条件で印象が変わります。

ヨーロッパヤマネコ/イエネコ/スナネコとの見分け方

似ている種が多いので、1点で決めずに複数ポイントの組み合わせで見ましょう。

ヨーロッパヤマネコとの違い

  • ヨーロッパヤマネコは、全体にがっしり・毛が厚い印象になりやすい
  • しっぽは太めで先端が丸く、黒いリングがはっきり出やすい
  • リビアヤマネコは比較的スリムで軽快に見え、毛並みも“ふわふわ”より“すっきり”しやすい

イエネコとの違い

  • 毛色や模様はイエネコの個体差が広すぎて、見た目だけで区別できないことがあります
  • 手がかりとしては、行動(極端に警戒心が強い)生息場所(人里からの距離)、そして耳・体つきの野生感
  • ただし、野外では交雑や個体差もあり得るため、写真1枚で断定は避けるのが安全でしょう

スナネコとの違い

  • スナネコは砂漠適応が強く、耳が大きく低い位置で、顔が横に広く見えやすい
  • 足裏の毛が発達し、全体に“砂漠専用”の丸みが出やすい
  • リビアヤマネコは、スナネコほど耳が大きくなく、体つきもより標準的なネコ型に見えます

リビアヤマネコの生態

出典:Wikimedia Commons(Bernard DUPONT)CC BY-SA 2.0

リビアヤマネコは何を食べる?

リビアヤマネコは肉食で、主に地上で捕まえやすい小動物を獲物にします。

中心になるのはネズミなどの小型哺乳類で、状況に応じて鳥類や爬虫類、昆虫なども狙います。

乾燥地では「水を多く得られない環境で暮らせる」ことが重要になるため、獲物から水分を得る形で生活が成立しやすい点も特徴です。

リビアヤマネコの狩りスタイル

狩りは基本的に単独で行い、草や岩陰などのカバー(隠れ場所)を使って距離を詰め、最後は短いダッシュで仕留めます。

目立つ追跡戦というより、待ち伏せと忍び寄りが中心です。

視覚と聴覚を頼りに、薄暗い時間帯や夜間に行動しやすいタイプと考えるとイメージしやすいです。

リビアヤマネコの繁殖・子育て

繁殖は地域の気候や獲物状況に左右されやすく、「決まった季節だけ」と言い切れないケースもあります。

出産後は母親が単独で子育てを担い、巣は茂みの奥や岩の隙間など、外敵や暑さを避けられる場所が選ばれます。

子どもは成長につれて狩りを学び、やがて母親の行動圏から独立していきます。

リビアヤマネコは人の近くでも生活している?

リビアヤマネコは、人里のすぐそばに積極的に来る動物というより、人の活動域と境界が重なる環境で暮らせてしまうタイプです。

農地の縁や集落周辺は小動物が増えやすく、狩りの条件だけを見ると魅力的になることがあります。

一方で、家畜小屋への侵入や、犬・交通など人為的リスクも増えるため、「近いから有利」とは単純に言えないのが現実です。

古代エジプト〜人間社会との関係

リビアヤマネコは、いわゆる“ヤマネコ型(Felis系)の野生ネコ”の代表格で、イエネコの起源を語る文脈で必ず登場します。

人が穀物を貯蔵するようになるとネズミが集まり、ネズミを追って野生のネコが人の近くに現れる—この「人の暮らしが“ネコに居場所を用意した”」という流れは、猫の家畜化(より正確には“共生の始まり”)を考えるうえで分かりやすい導入です。

古代エジプトの“猫文化”は象徴的ですが、その前段として、野生のFelis系のネコが人間社会の周辺で暮らしやすくなったこと自体が、長い物語のスタート地点になりました。

リビアヤマネコの脅威と保全

出典:Wikimedia Commons(Лариса Артемьева)CC0 1.0

リビアヤマネコの保全状況

リビアヤマネコは、IUCNではLC(低懸念)に位置づけられています。 

ただし、地域ごとに人間活動の影響が強い場所もあり、「どこでも安全」という意味ではありません。

国際取引については、条約の枠組みで規制対象に含まれる整理もあります。 

リビアヤマネコの脅威

リビアヤマネコの課題は、「数が少なすぎて絶滅寸前」というより、人の暮らしに近い場所の要因が重なりやすい点にあります。

代表的なのは、開発や放牧による環境変化、交通事故、罠・駆除などの人為的死亡です。

さらに重要なのが、次に述べるイエネコとの交雑(遺伝的な混ざり)です。

リビアヤマネコとイエネコの関係

リビアヤマネコは「イエネコの祖先系統」とされるグループに近く、見た目だけで区別しにくい場面があります。

そのため、分布域で屋外にいるイエネコが増えるほど、交雑が起きて純粋な野生個体群としての特徴が薄れていくことが懸念されます。

また、病気(感染症)や餌資源をめぐる競合など、間接的な影響も起こり得ます。 

リビアヤマネコ Q&A

出典:Wikimedia Commons(Vassil)CC0 1.0

Q.リビアヤマネコと会うにはどうしたらいい?

2026年1月現在、日本の動物園での展示情報はありませんが、海外の一部の動物園では飼育情報があります。

野生での目撃は難易度が高く、基本は生息域の保護区での観察(ガイド同行)や、カメラトラップ映像・調査報告で「存在を知る」形が現実的です。

個体の安全のため、無理な接近や追跡は避けましょう。

Q.リビアヤマネコをペットにできる?

おすすめできません。

野生動物としての扱い・法規制・福祉面のハードルが高く、そもそも「飼える/飼えない」の前に、野生個体を市場に乗せる需要が密猟や違法取引の温床になります。

Q.リビアヤマネコとイエネコの違いは?

大枠では「野生で生きるヤマネコ」と「人と暮らす家畜化されたネコ」の違いです。

見た目が似ることもありますが、野生個体は警戒心が強く、行動圏や狩りのスタイルも人の生活に最適化されていません。

読者へのメッセージ

野生に生きるネコ科図鑑メッセージ


ここまで読んでいただきありがとうございます。

リビアヤマネコは、私たちにとって身近なイエネコの「祖先にあたる系統」とされる野生ネコです。

もし写真や映像で出会えたら、控えめな縞模様・引き締まった体つき・大きめの耳といった“野生らしさ”に注目してみてくださいね。

この記事が、家の猫と野生のつながりを想像するきっかけになれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

野生に生きる「ネコ科図鑑」管理人です。トラ・マヌルネコに偏愛

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