南米ボリビアの雲霧林に暮らす小型の野生ネコが、新種「Leopardus tilcayo(ティルカヨ)」として正式に記載されました。

現生のネコ科動物で、これまで知られていなかった新種が記載されるのは100年以上ぶり。
見た目だけでは分からなかった違いを、DNA解析が明らかにしました。
「変わったネコ」から始まった発見

ティルカヨは、ボリビアのアンデス東斜面に広がるユンガス地方に生息します。

頭胴長約46cm、体重約1.4kgと、一般的な家猫より小柄です。(研究対象となったオスの数値)
淡い茶色の毛に、不規則なロゼット状の斑点が入るのが特徴です。
研究のきっかけとなったのは、現在ユンガス地方の保護施設「Senda Verde」で暮らすオス。
このオスは、幼い頃に地元住民によって保護され、当初は家猫だと思われていました。
その後、保護施設に引き取られ、研究者によってタイガーキャットの一種と考えられていましたが、毛皮の斑紋が既知の個体と異なることから、詳しい調査が進められました。
| 日本名 | 学名 | 英語名 |
|---|---|---|
| ジャガーネコ(キタジャガーネコ) | Leopardus tigrinus | Northern tiger cat |
| ミナミジャガーネコ | Leopardus guttulus | Southern tiger cat |
| クラウドジャガーネコ | Leopardus pardinoides | Clouded tiger cat |
| ヒガシジャガーネコ | Leopardus emiliae | Eastern tiger cat |
| ティルカヨ | Leopardus tilcayo | Tilcayo |
※日本名は資料によって表記が異なります。本表では、日本語の文献や解説で使用されている名称を採用しています。学名および5種への分類は、2026年に発表されたゲノム解析の研究結果に基づいています。

補足:タイガーキャットとジャガーネコの違い
「タイガーキャット(Tiger cat)」は、ジャガーネコ(Leopardus tigrinus)の英語名として使われる一方、外見がよく似た近縁のネコ科動物をまとめた「タイガーキャット類」という意味でも使われます。
ネコ科図鑑では、これまで Leopardus tigrinus を「ジャガーネコ」として紹介してきました。
本記事では、特定の種である Leopardus tigrinus を「ジャガーネコ」、ティルカヨを含む5種のグループを「タイガーキャット類」と呼び分けます。
ティルカヨはジャガーネコの亜種ではなく、2026年の研究で新たに記載された独立した種です。
DNA解析で明らかになった「5種」のタイガーキャット
国際研究チームは、タイガーキャットの仲間26個体を含む、Leopardus 属38個体の全ゲノムを解析しました。
その結果、これまで分類が複雑だったタイガーキャットの仲間には、5つの独立した種が存在することが明らかになりました。

ティルカヨは他の系統から約140万年前に分岐したと推定されています。
「tilcayo」という名前は、ユンガス地方でこのネコを呼ぶために昔から使われてきた呼称をそのまま採用したもの。
野生での個体数や詳しい生態はまだ分かっておらず、研究は始まったばかりです。
今後は生息域や個体数を明らかにし、適切な保全につなげていくことが課題となっています。
管理人の見解|「新種発見」で終わらず、生息地の保全にも注目したい
100年以上ぶりに新種のネコ科動物が発見されたという出来事は、ネコ科好きにとってとてもワクワクするニュースですね。
今回の発見は、私たちが把握できていない野生動物が、今も世界のどこかで暮らしていることを改めて感じさせる出来事でもあります。
ティルカヨについては、野生での個体数や詳しい生態など、まだ分かっていないことが多くあります。
新しい動物が見つかったという話題性だけでなく、これから研究が進み、生息地であるユンガス地方の環境や野生個体が適切に守られていくことにも注目していきたいところです。


