2026年3月20日 春分の日🌸
第19回JPSフォトフォーラム「地球の声を聴く ―動物写真にできること」という講演を聞いてきた。
この講演は、恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館で行われた。
野生動物を撮影する3名の写真家によるありがたいお話を、いろんなことを考えながら聞いた。ネコ科図鑑をつくって約1年ちょっと、たくさん調べたり考えたりしてきたことを振り返るような時間で、あっという間の2時間半だった。
そんな空間から、恵比寿の街に出た瞬間、言葉にならない気持ちになった。雑文だが、この気持ちのまま、記事を書こうと思った。
印象に残った話
フォーラムでは3名の写真家が順番に、写真や資料を画面に映しながら話してくれた。
白いキツネの写真
まず印象に残ったのは、最初に見た、篠田岬輝さんの白いホッキョクギツネの写真だ。
(会場でいただいた冊子に実際の写真が掲載されているが、冊子をスマホで撮影して載せるのはあまりにも違う気がするのでやめておく)
この種は、夏と冬で体毛の色が変わるらしい。冬は雪景色に合わせて真っ白な毛に変わるが、異常気象により雪が降らなかった結果、「黒い岩場に白いキツネ」という構図の写真が撮れたという。
話を聞かなければ、白いフワフワのキツネが暗い背景とのコントラストで映えて見え、「可愛い白キツネが上手く撮れてるわね〜」という感想で終わっていたと思う。
しかし現実では、キツネは周囲にカモフラージュできない危険な状況に置かれている。
現場を知る人が写真とともに伝えるからこそ、見えない現実が見えてくる。

ボルネオの失われる森林
二つ目は動物写真ではないのだが、柏倉陽介さんのボルネオのパーム油プランテーションの写真。
ボルネオ島は個人的に憧れの地であり、いつか国立公園をめぐってみたいと夢見ている。森林破壊が進んでいる情報を見聞きしても、とはいえ自然に溢れた島だろうという印象に変わりはなかったのだが、現実は想像以上に厳しいことが分かった。
ネコ科図鑑の記事にも、何度もパーム油プランテーションによる森林破壊の問題が出てきており、個人的に調べたり写真を見たりしていた。
今日あらためて、柏倉さんがヘリコプターから撮影したという写真を見た。
ボルネオの森林が一面アブラヤシに変わり、埋め尽くされた写真を見た時、ネット記事で見るイメージ画像とは伝わってくる衝撃がまったく別物だった。そして、こんなことを現実にする人間が心底怖いと感じた。
自分の目の前にいる柏倉さんが、実際に撮った写真として見せてくれたからこそ、ここまでの衝撃が伝わってきた。同じ事実でもこんなに変わるのかと驚いた。
今回のフォーラムのテーマである「動物写真にできること」は、まさにこれだと思った。
人の顔が見えない情報が増えた今、生きた温度を感じる写真の力は、今まで以上に強く人を動かす存在になるのではないかと思う。

ランタンボールとそこに生きる人々
そして、私が今回目当てにしていたのが、山田耕熙さんの講演だ。
2025年の展示ではじめて山田さんのトラの写真を見てからファンになった。講演を予約して、カウントダウンしながら今日を心待ちにしていた。
美しいランタンボールのトラの写真はもちろん、周辺で活動する現地の人々の写真がとても印象的だった。
野生動物と人間の共存は単純ではなく、さまざまな問題が絡んでいる。綺麗事では解決しない。山田さんもたびたびおっしゃっていたが、残念ながら善意だけでは人間は動かない。だからこそ、現地の人間と野生動物のあいだにあるたくさんの問題をひとつずつ調整して、人間が損をしない形を作らないといけない。
↓ここからは私の感想です。
つくづく、人間は手のかかる生き物だと思う。
でも、人間はそういう生き物なんだと割り切った対策こそが、現実的な共存の道なんだろうなとも思った。
それを実現する人々を尊敬するし、力になりたい。
考えていても分からなくなるし、きっと私みたいに記事の中で叫んでいるだけでは、なかなか何かを変えることはできないのだろうと思う。
それでも、自分が今できることをやらずに、ただ消費して生きるわけにもいかない。
この講演を聞いて興味を持った「Tiger Watch」というランタンボール国立公園の保全団体について、記事を書いた。

今日は「第19回JPSフォトフォーラム」の講演に参加して、意義深い春分の日になった。
貴重な時間を、ありがとうございました🌸

