
- 学名: Leopardus tigrinus(レオパルドゥス・グイグナ)
- 英名: Oncilla/Northern tiger cat/Little spotted cat/Tiger cat/Tigrillo
- 分類: ネコ科オセロット属
- 体長: 約40〜55cm
- 尾長: 約25〜42cm
- 体重: 約1.5〜3.0kg
- 寿命: 野生で 10〜14年、飼育下で 〜17年程度の情報がある

- 学名: Leopardus tigrinus(レオパルドゥス・グイグナ)
- 英名: Oncilla/Northern tiger cat/Little spotted cat/Tiger cat/Tigrillo
- 分類: ネコ科オセロット属
- 体長: 約40〜55cm
- 尾長: 約25〜42cm
- 体重: 約1.5〜3.0kg
- 寿命: 野生で 10〜14年、飼育下で 〜17年程度の情報がある
- 中南米に生息する小型の野生ネコ
- 細かな斑点模様と、尾のリング模様が特徴
- 人目を避けて行動する小さなハンター
ジャガーネコの名前と分類

Leopardus属での立ち位置
ジャガーネコは、ネコ科の中でも Leopardus(レオパルドゥス)属に属する小型の野生ネコです。
Leopardus属には、オセロットやマーゲイ、ジョフロイネコ、コロコロ類など「斑点(または縞)模様をもつ中南米の野生ネコ」が多く集まっています。
その中でジャガーネコは、体のサイズが小さく、細かなスポット模様を持つタイプ。
見た目は「ミニオセロット」のように感じる人もいますが、実際にはそれぞれ別の種で、暮らす環境や得意な場所も少しずつ違います。
呼び名がたくさんあるのはなぜ?
ジャガーネコは、記事や図鑑によって「ジャガーネコ」「オンシラ」「ティグリナ」「タイガーキャット」など、複数の呼び名で登場します。呼び名が多いのには、理由があります。
呼び名が混ざりやすい
このグループは外見が似た小型の斑点ネコが複数いて、国や地域ごとに呼び方が広まってきました。
その結果、同じ個体群を指していても呼び名が統一されにくく、資料や図鑑によって表記が変わりやすくなります。
研究や地域で「指している範囲」が違う
近年は遺伝研究などが進み、これまで「ひとまとめ」で扱われてきた集団を、地域ごとに分けて整理する動きが強まっています。
そのため、同じ呼び名でも、研究や地域によってどこまでをジャガーネコに含めるかの範囲が異なることがあります。
ジャガーネコの亜種

出典:Wikimedia Commons(Klaus Rudloff)/CC BY-SA 4.0
ジャガーネコは、近年の研究で「同じ名前で呼ばれてきた集団」を地域ごとに分けて整理する動きが進んでいます。
そのため資料によっては、南部の集団をミナミジャガーネコ(Leopardus guttulus)、山地の雲霧林側をクラウドジャガーネコ(Leopardus pardinoides)のように区別して紹介することがあります。
※本記事ではまとめて「ジャガーネコ」と表記しています。
ジャガーネコはどこにいる?
ジャガーネコの分布

ジャガーネコ類は、中米ではコスタリカ周辺で記録があり、南米では主にブラジルを中心に北部~中部の広い地域で確認されています。
さらに、資料によってはベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ボリビア、パラグアイ方面まで含めて紹介されます。
一方で近年は、同じ「ジャガーネコ」と呼ばれてきた集団を地域ごとに分けて考える流れがあり、「どの系統を指すか」で分布図の形が変わる現象があります。
ジャガーネコが暮らせる標高レンジ
ジャガーネコは、地域によって「得意な標高帯」がはっきり変わります。
たとえば中米(コスタリカ)では、火山の山腹の森での記録が多く、標高1,000m前後から樹林限界付近までの雲霧林・エルフィン林で確認されています。
コロンビアでは1,500m以上での記録が中心で、例外的に4,800mまで報告されています。
その一方、ブラジルでは低地(おおむね500m未満)の環境に生息しており、同じ「ジャガーネコ」でも山でも低地でも暮らせるという特徴があります。
ジャガーネコの生息環境
ジャガーネコが暮らす場所のキーワードは、「森」と「隠れ場所の多さ」です。
雲霧林のような湿った山地林だけでなく、乾燥傾向の低木林やサバンナ的環境と結びつけて紹介されることもありますが、共通するのは下草・低木・倒木など“身を隠せる要素”が残っていること。
獲物(小型哺乳類など)が集まりやすいのも、こうした構造のある場所です。
ジャガーネコの見た目

ジャガーネコの模様
ジャガーネコの最大の特徴は、体全体に広がる細かなスポット模様です。
オセロットのような大きなロゼット(輪状模様)よりも、小さめの点がびっしりという印象になりやすく、背中〜体側にかけて模様が密に入ります。
一方で、個体によってはスポットが連なって短い線(鎖状)に見えたり、体側の模様がやや大きめに見えることもあります。
写真を見るときは「点の細かさ」「密度」をまず押さえると、ジャガーネコらしさがつかみやすくなります。
ジャガーネコの顔

顔つきは、頬から額にかけて入る縞(フェイスライン)がポイントです。
目の周りから頬へ伸びる暗色のラインが入りやすく、顔の輪郭がくっきり見えます。
また、マズル(鼻口部)は小さめで、野生ネコらしい引き締まった表情になりやすい一方、写真の角度によってはイエネコっぽさも感じられます。
顔だけで同定しようとせず、模様や尾とセットで見るのが確実です。
ジャガーネコの尾
尾は長めでバランス型です。
多くの写真で、尾にリング状の暗色帯(しま模様)が入り、先端が濃く見えることがあります。
ジャガーネコの耳
耳は丸みのある形で、背面が暗色になりやすい傾向があります。
個体によっては、耳の背面に淡い斑(“目玉模様”のように見えるパッチ)が出ることもあります。
ジャガーネコの体格
体格は小型で、全体として細身で引き締まったシルエットに見えやすいタイプです。
脚はすらっと見えることが多く、低木や林床の影を利用して隠れながら動きやすいシルエットになっています。
ジャガーネコの見分け方
ジャガーネコは「小型で斑点がある」という点だけだと、似たネコ科(オセロット類・マーゲイ・ジョフロイネコなど)と混同しやすい動物です。
写真や観察記録から判断するときは、1点で決めず、複数の特徴をセットで見るのがコツです。
- 模様の粒を見る
ジャガーネコは、体側の模様が細かいスポット中心になりやすく、「小さな点が密に並ぶ」印象が出ます。
一方、オセロットは体格が大きく、模様も太めでロゼット(輪状)や帯状が目立ちます。マーゲイもロゼットが出やすく、全体に模様が大きい方向に見えがちです。 - 尾のリングを確認する
尾にリング状の黒帯が入る個体が多く、先端が濃く見えることがあります。
「尾が長い・短い」だけでなく、リングがはっきり見えるか/太さはどうかを合わせて見てください。 - 顔のライン(頬〜額の縞)を見る
頬から額にかけての暗色ラインが比較的くっきり出ることがあり、顔つきが引き締まって見えます。
ジャガーネコの生態

ジャガーネコの主食
ジャガーネコは肉食で、主に小型哺乳類(げっ歯類など)と鳥類を狙います。
地域によってはトカゲなどの爬虫類も食べることが知られており、出会える獲物に応じてメニューが少しずつ変わるタイプです。
ジャガーネコの狩りスタイル
基本は単独で静かに近づいて仕留めるスタイルです。
林床(地面)や低い茂みの中など、隠れられる場所を使いながら獲物に接近し、短い距離で勝負します。
また、樹上にも逃げ込める運動能力があるため、地上での狩りが中心でも「立体的に動ける」強みがあります。
ジャガーネコの活動時間
活動は夜行性が基本で、日中は茂みや林内の見えにくい場所で休み、暗くなってから動く傾向があります。
ただし、観察例としては昼間に見られることもあるため、場所の環境(人の出入りの多さ、植生の密さ等)で活動時間が変わります。
ジャガーネコの繁殖・子育て
繁殖の細かい数値は飼育下データが中心ですが、目安としては次の通りです。
- 発情期間:数日(3〜9日)
- 妊娠期間:約75日(おおむね74〜76日)
- 出産数:1頭が多く、最大で3頭
子どもは生後数か月で離乳し、4か月ほどで独立に向かうとされています。
ジャガーネコの脅威と保全

ジャガーネコの保全状況
ジャガーネコ類は、IUCNでは Vulnerable(危急)、かつ個体数傾向は減少(Decreasing)として整理されています。
※近年の分類整理の影響もあり、「どの系統(学名)を前提にするか」で評価の読み方が変わります。2025年時点では、Northern tiger cat(Leopardus tigrinus) と Southern tiger cat(Leopardus guttulus) を分けて扱われることが多いです。

また、国際取引については、CITESの枠組みで附属書Iに掲載される扱いとして示されており、商業目的の国際取引は原則として強く制限されます。
生息地の減少・分断
最大のリスクは、森林伐採や農地化などによる生息地の減少と、森が細切れになる分断です。
分断が進むと、個体群が小さく孤立しやすくなり、移動のたびに道路や人里に近づく機会が増えて、他の脅威(ロードキル・衝突)も連鎖的に起こりやすくなります。
ロードキル
道路網の拡大は小型ネコ科にとって無視できない死亡要因で、ジャガーネコ類でも道路での死亡(ロードキル)が脅威として繰り返し挙げられています。
実際にブラジルでは、野生ネコのロードキル記録を使って「死亡が起きやすい道路区間」を推定する研究も行われています。
ジャガーネコと人の衝突
人の暮らしが森林縁まで入り込むと、衝突が起きやすくなります。
たとえば、家禽(ニワトリ等)への被害が出ると、報復的な駆除につながる可能性があるのです。
また、放し飼い・野良化した犬は、直接の攻撃だけでなく、競合や攪乱を通じて影響します。
さらに犬やイエネコは感染症の媒介(病原体ベクター)になり得る点も、CatSGが具体例(パルボ、ジステンパー等)とともに触れています。
保全・研究の取り組み
取り組みの中心は「森を守る」だけでなく、人為的な死亡要因を減らす実装です。
具体的には、保護区や回廊(コリドー)整備で分断を弱めること、ロードキル多発区間の把握と対策、家禽被害を起点にした報復を防ぐ地域対応、そして犬猫の適正管理や疾病リスクの把握などが柱になります。
ジャガーネコ Q&A

オセロットやマーゲイとどこが違う?
ジャガーネコは小柄で、細かなスポットが密に入るのが特徴です。
オセロットは体格が大きく、模様も太めでロゼット(輪)が目立ちます。
マーゲイは樹上適応が強い種として知られ、見た目や動きの樹上っぽさがヒントになります。


ペットとして飼える?
ジャガーネコ類はCITES附属書Iに含まれる扱いとして示され、商業目的の国際取引は原則強く制限されます。
日本でもCITESに基づく手続きが前提になり、一般的なペットとしての選択肢にはなりにくいです。
飼養の可否や要件は国・自治体・個別条件で変わるため、必ず公的情報で確認が必要です。
黒化個体はいる?

出典:Wikimedia Commons(Noah Israel)/CC BY-SA 4.0
はい、黒化(メラニズム)個体の記録が報告されています。
ただし写真だけでは断定しづらい場合があるため、撮影地や出典も併せて確認するとジャガーネコの黒化個体と判別できるでしょう。
読者へのメッセージ

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
ジャガーネコは野生み溢れる細かな縞模様、きりっとした顔つき、そして暮らす場所によって表情が変わる魅力たっぷりな野生ネコです。
呼び名や分類が少しややこしいのも、この動物の面白さの一部。知れば知るほど、「写真では分からない世界が見えてきます。
この記事が、ジャガーネコに親しみを持つきっかけになれば嬉しいです。
