
- 学名: Leopardus guigna(レオパルドゥス・グイグナ)
- 英名: Kodkod/Güiña(ギーニャ)
- 分類: ネコ科オセロット属
- 体長: 約40〜52cm(頭胴長)
- 尾長: 約17〜25cm
- 体重: 約1.5〜3.0kg
- 寿命: 野生で約10年前後、飼育下で最長15年以上の報告も

- 学名: Leopardus guigna(レオパルドゥス・グイグナ)
- 英名: Kodkod/Güiña(ギーニャ)
- 分類: ネコ科オセロット属
- 体長: 約40〜52cm(頭胴長)
- 尾長: 約17〜25cm
- 体重: 約1.5〜3.0kg
- 寿命: 野生で約10年前後、飼育下で最長15年以上の報告も
コドコドってどんな動物?
- アメリカ大陸最小級の野生ネコ
- チリの竹林で暮らす
- 木登りも得意な小さなハンター
- 人を避ける臆病な性格
コドコドの基本情報

出典:Wikimedia Commons(Jim Sanderson)/CC BY-SA 3.0
学名・英名・別名
コドコドの学名は Leopardus guigna(レオパルドゥス・グイグナ) です。
英語では Kodkod が一般的ですが、チリでよく使われる呼び名として Güiña(ギーニャ) も広く知られています。
資料によっては Guigna/Chilean cat など複数の表記があります。
分類
コドコドはネコ科の中でも、アメリカ大陸の小型斑点ネコがまとまる Leopardus属 に属します。
近縁にはオセロット、マーゲイ、ジョフロイネコなどがいて、外見が似やすい種が多いのが特徴です。
大きさ・体重・寿命
コドコドは「アメリカ大陸最小級の野生ネコ」として知られ、家猫より小さく見えることもあります。
資料によって差がありますが、目安は次のとおりです。
- 体重:約 1.5〜3 kg
- 体長(頭胴長):約 37〜56 cm
- 尾長:約 20〜25 cm
- 寿命:野生で 〜11年 程度
分布
コドコドの分布は南米の中でも比較的限定的で、主にチリの中〜南部に生息し、アルゼンチン側では隣接する森林域の一部で記録されます。
「南米に広くいるネコ」ではなく、チリの森林帯に沿って細長く分布するタイプと捉えるとイメージしやすいです。
生息環境

コドコドは、いわゆる熱帯雨林のネコというより、チリの温帯林(バルディビア温帯雨林やアラウカリア林など)に強く結びつく種です。
特徴は「森そのもの」だけでなく、森の中の竹・低木など下層植生が密な場所(隠れ場所)を好む点にあります。
一次林だけでなく、条件が合えば二次林や林縁でも見られますが、共通して「身を隠せる密度」が重要です。
食性・活動時間
食性は肉食で、主に小型のげっ歯類を中心に、小鳥・トカゲ類なども捕食します。
人里近くでは家禽(ニワトリ等)が関わるケースも報告されます。
活動は「昼夜どちらも動く」傾向がありつつ、開けた場所へ出るのは夜間に偏りやすく、日中は茂みの中などカバーのある場所で休むと整理されます。
保全状況
現在、コドコドは IUCNでLeast Concern(低懸念)として扱われています。
一方で、過去にはVulnerable(危急)に分類されていた時期があり、生息地の減少・分断や人里由来のリスクなど、地域によって脆弱性が出やすいとされています。
コドコドの名前と分類

「コドコド」「ギーニャ」ってどういう意味?
コドコドは、英語でもそのまま Kodkod と呼ばれることが多いですが、現地チリでは Güiña(ギーニャ)/Huiña(ウィーニャ) といった呼び名も広く使われます。
また、「Kodkod」という呼び名は、先住民マプチェ系の言語(Araucanian/Mapuche)に由来すると説明されることがあり、現地文化と結びついた名前として語られるのも特徴です。
Leopardus属の中での立ち位置
コドコドは、アメリカ大陸の小型斑点ネコがまとまるLeopardus属(オセロット系統)に属し、この系統の中でも非常に小型な種です。
CatSGは、コドコドをジョフロイネコの姉妹種として扱い、比較的最近(100万年未満)まで共通祖先を共有していたと説明しています。
この“近さ”が、後述する「見分けが難しい理由」にも直結します。

コドコドの亜種
コドコドには、形態(見た目)と遺伝のデータにもとづき、2つの亜種が認められる整理が一般的です。
CatSGでは次のように区分しています。
- 北・中部チリ(南緯30〜39度周辺):体がやや大きめで、被毛が明るい傾向
- 南部チリ〜アルゼンチン南西部(南緯38〜48度周辺): 体がやや小さめで、被毛が暗めの傾向
同じコドコドでも、地域で体格感や色合いが変わるので、写真の同定や解説では「撮影地(緯度・環境)」を合わせて見分けると良いでしょう。
コドコドの見た目の特徴
コドコドの斑点模様
コドコドの模様は、オセロットのような大きなロゼット(輪)というより、小さめの黒いスポット(斑点)が全身に散るタイプです。
体色は 淡い黄褐色〜灰褐色〜赤みのある褐色まで幅があり、環境や個体差によって印象が変わります。
特徴的なのは、肩〜首まわりで斑点がつながり、点線状の縞(ドットの筋)のように見える個体がいることです。
「スポット+縞っぽさ」が混ざる感じは、コドコドの“野生らしさ”を強く見せるポイントになります。
コドコドの顔・耳・しっぽの特徴
顔は小さめで、以下のような目元から頬にかけた黒いラインが入ることが特徴です。
- 目の下を横切って頬へ伸びる黒線
- 鼻の両側から頭頂へ上がる黒い縦ライン といった、顔のマーキングが“この種らしい特徴”として説明しています。
耳は丸みがあり小さめで、耳の裏は黒っぽく、中央に白い斑(白点)が入ります。
尾は太くてふさっと見えやすく、黒いリング模様が入り、長さは頭胴長の約半分程度です。
この「太めでリング状の尾」は、似た種と見分ける際の手がかりになります。
コドコドの黒化(メラニズム)個体はいる?

出典:Wikimedia Commons(Diariodelguardaparque)/CC BY 4.0
コドコドは、地域によっては黒化個体がかなり普通に見られるとされています。
特に、チロエ島や一部の国立公園、アルゼンチン側の一部地域などでは黒化が特に多い傾向があります。
ただし重要な注意点として、CatSGは「北側の亜種分布域ではメラニズムが確認されていない」とも述べています。
つまり、黒化はどこでも起きる特徴ではなく、地域差があるとされています。
コドコドの見分け方
コドコドが最も混同されやすい近縁種は、前述のジョフロイネコです。
コドコドを見分ける時には以下に注目しましょう。
- 顔が小さめ
- 顔のライン(頬線・鼻筋のライン)がくっきり見える
- 尾が太くふさっとしている
- 体サイズもジョフロイネコよりわずかに小さめ
加えて、コドコドは分布がチリ中心で比較的限られるため、写真では 撮影地+植生(温帯林・下層が密いか)を合わせて見るのもポイントです。
コドコドの生態

コドコドは何を食べる?
コドコドは肉食で、主食は小型のげっ歯類(ネズミ類)です。
調査では、獲物の中心がげっ歯類で、地域によって食べる種類が変わることが示されています。
そのほかにも、小鳥・トカゲなどの爬虫類・大型の昆虫を捕食し、状況次第では家禽(ニワトリなど)を襲う例も報告されています。
コドコドの狩りスタイル
コドコドの狩りは、ネコ科らしい待ち伏せ(ステルス)型が基本です。
茂みや地形の陰を使い、見つからない距離まで詰めてから一気に仕留めます。
また、鳥類やトカゲ類など地上性の獲物を狙う“地上のハンター”としての側面が強い一方、樹上を使えるため、状況に応じて狩りの選択肢が広がります。
コドコドの暮らし
コドコドは基本的に単独性で、オス・メスともに行動圏を持ちます。一般にオスの方が広く動き、メスは比較的コンパクトになりやすいと整理されます。
研究例では、平均ホームレンジが約1.5 km²とされる報告や、別研究で平均約2.69 km²という報告があり、環境条件や断片化の程度によって幅があります。
コドコドは木登り上手?
コドコドは地上性でありながら樹上も活用するタイプです。
木に登って安全な隠れ場所を確保したり、追跡者(犬など)から逃げたり、見張り台のように周囲を見渡して獲物を探したりするのです。
体のわりに足や爪が発達している点も、森林で生きる能力を支える特徴として挙げられます。
コドコドの繁殖・子育て
コドコドの繁殖は、野外データがまだ多くはなく、分からない点も残ります。
現時点で整理されている代表的な情報としては、妊娠期間が約72〜78日、1回の出産で1〜4頭という範囲が示されています。
繁殖の季節性や繁殖間隔は「十分に確立した情報が少ない」とされ、今後の調査で更新されうる項目です。
子育ては基本的に母親が担う典型的なネコ科のスタイルで、子は未熟な状態で生まれ、成長まで母親の保護と給餌に依存します。
コドコドの脅威と保全状況

コドコド保全の位置づけ
現在、コドコドLeast Concern(低懸念)として扱われています。
一方で、近年ステータスが見直された経緯があり(VU→LCに変更)、保全関係者からは「評価が下がっても現場の脅威は消えない」という注意喚起も出ています。
コドコドの主な脅威
コドコドにとって最大の課題は、森林そのものの減少と、森が細切れになる分断です。
農地化や伐採、道路や集落の拡張によって、温帯林の密な下層植生が失われると、隠れ場所と獲物の両方が減りやすくなります。
さらに、チリは山脈に挟まれた細長い地形のため、人の暮らしや道路・農地が特定の帯に集中しやすい国でもあります。
その結果、森林が「帯状に削られ、点在するパッチとして残る」形になりやすく、森の分断が起きるとコドコドは移動を強いられ、交通事故や人里での衝突リスクが連鎖的に高まります。
コドコドと人の衝突
ロードキル問題
コドコドは森の下層(竹や低木のカバー)に強く依存するため、森林が分断されると移動のたびに道路横断を強いられやすく、ロードキルが起きやすくなります。
体が小さく夜間に動くことも多いので、ドライバー側が発見しにくい点もリスクです。
対策は、ロードキル多発区間の特定と速度抑制、動物が安全に渡れる通り道(回廊や横断ポイント)の確保が中心になります。
家禽被害と報復
コドコドが人との摩擦を起こしやすいのは、主に人里近くで家禽(ニワトリ等)を襲うケースです。
被害が出ると「また来るかもしれない」という不安から、捕獲・駆除などの報復行動につながりやすく、結果的にコドコド側の死亡要因になります。
特に森林が点在する地域では、森と集落の距離が近く、衝突が起きやすい構造が生まれます。
報復を減らす現実的な対策
対策は「駆除」よりも、そもそも被害が起きない条件づくりが有効です。
夜間は鶏舎を確実に閉め、金網の目を細かくし、床下や足元からの侵入対策をするだけでも被害は減らせます。
加えて、餌や生ゴミの放置を避けて小動物を集めにくくする(=捕食者が寄りにくい環境にする)、犬の放し飼いを抑える、飼い猫を屋内中心にして野生動物との接触を減らす、といった生活側の設計が衝突の連鎖を止めます。
イエネコ由来の感染症リスク
コドコドの人里由来リスクとして特徴的なのが、イエネコ由来の感染症(FeLV/FIVなど)です。
チロエ島などで、コドコドと同所的に暮らすイエネコの双方からFeLV・FIVが検出された研究があり、家猫側が感染源になり得ることも示唆されています。
さらに別研究では、コドコドのFeLV感染が居住イエネコがいる条件と関連する可能性も報告されています。
コドコド保全の取り組み
コドコドの保全は、以下のような森をつなぎ、衝突と死亡要因を減らす積み上げが中心です。
- 温帯林の保全・再生
- 森林パッチを結ぶ回廊の確保
- ロードキル多発区間の把握と対策
- 家禽被害を減らす鶏舎改善
- イエネコ・イヌの適正管理
コドコドQ&A

コドコドは危険?人を襲う?
コドコドは体が小さく、人を積極的に襲う動物ではありません。
基本的にとても警戒心が強く、こちらが気づく前に姿を消してしまうことがほとんどです。
ただし、どんな野生動物でも「追い詰める・触ろうとする・子どもに近づく」などがあると防衛行動を取る可能性はあります。見かけても距離を保ち、静かに観察するのが安全です。
なぜ見かけにくいの?
主な理由は4つです。
- 活動が夜間〜薄明薄暮に寄りやすい
- 竹や低木など密な場所を好む
- そもそも個体数密度が高い動物ではない
- 人を避けて静かに暮らす
「いるのに見えない」タイプの野生ネコだと考えるとイメージしやすいです。
黒いコドコドは本当にいる?
コドコドは黒化個体が確認されており、地域によっては比較的よく記録されることもあります。
真っ黒に見えても、光の加減で模様がうっすら浮くケースがあります(※個体差・地域差あり)。
コドコドはどこで見られる?
野生では主にチリ(中心は中南部の森林帯)で、条件が合う地域ではアルゼンチン側の隣接域でも記録されます。
観察は「偶然出会えたら幸運」レベルで、狙って見つけるのは簡単ではありません。
飼育展示は地域や施設によって状況が変わるため、旅行・見学目的なら「現地の動物園/保護施設の最新情報」を事前に確認するのが確実です。
ジョフロイネコやジャガーネコとの違いは?
大きくは「サイズ感」「尾」「分布と環境」で見分けやすくなります。
- コドコド
より小型で、尾が太めでふさっと見え、リング模様が目立つことが多い
分布はチリ中心で温帯林(下層が密い環境)と結びつきが強い - ジョフロイネコ
コドコドより体つきがしっかり見える個体が多い
南米南部に広く、草原・低木林・湿地などにも適応 - ジャガーネコ
分布はより北〜東側にも広がり、模様の出方も個体差が大きい。
写真だけで迷うときは、模様だけで決め切らず、撮影地(国・植生)を合わせて判断するのがコツです。
ペットとして飼える?
基本的におすすめできません。
野生ネコは、飼育環境・福祉・安全面のハードルが高い上、国や地域によっては許可が必要だったり、そもそも飼育が認められなかったりします。
コドコドに限らず、野生動物は「可愛いから飼う」ではなく、自然環境で生きる前提の動物だと考えるのが現実的です。
読者へのメッセージ

ここまで読んでいただきありがとうございます。
コドコドの魅力は伝わったでしょうか?✨
この記事が、小さなカラダでひっそりと暮らし、ときには木に登って獲物を狙う逞しいチリの野生ネコ「コドコド」を近くに感じるきっかけになれば嬉しいです。
参考文献・出典
- IUCN Cat Specialist Group|Living Species – Kodkod(Leopardus guigna)
- Acosta-Jamett et al. 2004|Habitat use…(Biodiversity and Conservation/Springer)
- IUCN CatSG|Living Species – Kodkod(回廊利用の記述あり)
- Napolitano et al. 2015|Reduced Genetic Diversity…(J. Heredity PDF/OUP)
- Marín-Hernández et al.|Roadkill as the primary cause of death…(Semantic Scholar)
- Medrano-Vizcaíno et al. 2022|Roadkill patterns in Latin American birds and mammals(Wiley)
- IUCN CatSG|Living Species – Kodkod(人為脅威・衝突要因の整理)
- Mora et al. 2015|FIV/FeLV in guignas and sympatric domestic cats(PubMed)
- Sacristán et al. 2019|FeLVの種間伝播等に言及(J-STAGE PDF)
